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路線バス(ろせんバス)とは、あらかじめ設定された経路を定期的に運行するバスのことを指す。

長距離高速バスや「はとバス」に代表される遊覧バス、定期観光バスも、ほぼ毎日同じ経路を運行するので路線バスに含まれる。もっとも、一般に「路線バス」と言うと、一地方の近隣地域内の通勤・通学などの日常の移動を主な目的として運行されるバスのことを指す。ここでは、主に一般道を走行する、都市内や鉄道駅と郊外などを結ぶ、比較的距離の短い路線バスについて説明する。ただし一般の路線バスにおいても、一部にはバイパス道路や道路橋、高速道路などの有料道路に路線が設定されている場合もある。

ここでは、一般道路を主体に運行される路線バスを中心に、特記ない限り、日本国内の路線バス(道路運送法に規定される「一般乗合旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)について記述する。高速道路を主体に走行する長距離路線バス(高速バス)については、高速バスも併せて参照。

目次

現況

現在、日本のほとんどすべての路線バスは、大型二種免許を持った運転手ひとりだけが乗務するワンマンバスとして運行されている。1970年代前半頃までは、運賃の収受やドアの開閉、踏切などでの安全確認やバックの際の誘導などを行う車掌が乗車していたが、人件費節減のため、1980年代にはほとんどワンマン運行になった。

運転手の間では、同業者とすれ違った際に手を上げて挨拶をすることが慣例となっている。地域によっては異なる会社間でも行われることや、事故防止のために挨拶を禁止している場合もある。

現在の路線バスは、地方を中心にモータリゼーションや少子高齢化、過疎化の進行により、かなり苦しい運営状況におかれている。そういった赤字路線の運営は貸切バス事業の黒字分で補填してきたが、道路運送法の改正でバス事業の新規参入が緩和されたため、過当競争におちいり赤字路線を維持できなくなった。法改正で路線の減便・廃止は基本的に住民同意なしで行うことができるようになり簡単に路線を廃止、減便が行われている。また経営環境の悪化から倒産する会社なども出てきている。

  • また、鉄道路線等の廃止に伴う代替バス路線の場合、元々経営が厳しかった鉄道路線が廃止になって代わりに設定された路線が大半(例外が名鉄起線の代行バス)で、バス転換後も利用者の減少は著しく、経営難から代替であったはずのバス路線自体も廃線が相次いでいる。そのため、公的資金の投入などで、なんとか路線を維持しているところが多い。

収益の改善では、車体全体を広告に供するラッピング車両や、空港連絡路線の強化、地域ごとの分社、運行業務の他社への委託などが行われている。

大都市においては、地下鉄路線の拡充に合わせて路線網が縮小された地区が多い。その他、大都市においては渋滞によるダイヤの定時性維持が最大の課題となる。これについては、最近では、バスレーンの設置や公共車両優先システム(PTPS)の導入、名古屋ガイドウェイバスのようにバス専用道路建設(専用道路区間は路面電車等と同じ軌道扱い)など、渋滞により定時運行が妨げられやすいというバスの短所を、積極的に改善するための試みもなされている。

そのほか、自治体が支援する「コミュニティバス」というアプローチも行なわれている。東京都武蔵野市の「ムーバス」が成功例として知られる。また、大阪市バスの「赤バス」のように、小型バスによる均一料金での細かな地域への入り込みや、100円バスと呼ばれる形態での利用増を図る地域もある。

 

路線バスにおける優等種別

日本の路線バスにおいては基本的には路線内のすべての停留所に停車する各駅停車がほとんどであるが、観光地を抱えている路線や、長距離を走る地方路線、都市部において時間帯限定(朝夕ラッシュ時や昼間時間帯など)で特急・急行などの優等種別のバスを運行している路線がある。使用車両については通常の路線バスタイプ(下記参照)を使うところもあれば貸切タイプを使うところもあり、路線・運行会社によってまちまちである。

車両の特徴

日本の路線バスの車両の多くは、車両左側の前方および中間の2ヶ所にドアが設けられていることが多い。地域や事業者、路線によっては前方と後方の2ヶ所にドアが設けられている車両(一部の都市)、前方1ヶ所だけドアが設けられている車両(主に地方部)、前方・中間・後方の3ヶ所にドアが設けられている車両(大都市の一部事業者)もある。しかし、いわゆるバリアフリーへの対応で、近年ではノンステップやワンステップ車両が導入されるようになり、構造の関係から前方と中間の2ヶ所にドアがある形態に集約されつつある。

前方ドアは運転席の脇にあり、前方ドアを利用する乗降時に運賃の精算がなされるため、精算機(運賃箱)が置かれていることが一般的である。

座席は多くが進行方向を向いた席であるが、車両左側の前後のドアの間の座席(多くは優先座席)は側面を向いていることも多い。乗客数が特に多い路線ではほとんどの座席を横向きに設置し、乗車定員を増加させていることもある。

かつては路面と客室の間に大きな段差があり、車いすや高齢者の利用に難があったが、近年になって設備の改善も進み、車椅子のリフトアップが出来たり、乗降時に空気圧を利用して車体が下がる仕組みを備えたり、ノンステップバスと呼ばれる車のように、車体中央の入り口部分が低く乗り降りが楽なバスも増えている。

乗車方法

路線バスでは、道路交通法により原則として、バス停留所(バス停)や、駅前などに設けられたバスターミナルで乗降する。乗降客が極端に少ない区間等の特に認められた区間では、バス停以外の場所であっても運転手に合図をすれば乗降できる「フリー乗降制」となっている場合もある。

運賃は、均一料金制の場合(都市部に多い)と、距離に応じて金額が上がってゆく場合(対キロ制・区間制)とがある。基本的に、前者の場合は運転手のいる前方の入口から乗車して運賃を支払い、後方または中央の出口から出る(終点では前方の入り口からも降車できる事が多い)「前乗り後降り先払い」、後者の場合は後方または中央の入口から乗車し、前方の出口から出る際に運賃を支払う「後乗り前降り後払い」となる。東京都の均一運賃地域や横浜市川崎市名古屋市那覇市(民間事業者の那覇バス)、伊丹市尼崎市などが前者の方式を採用している。ただし、関西では、大阪市京都市神戸市などが都市部の均一運賃地域であっても後者の方式を採用しており、こちらの方が乗降の効率は良いといわれる。 なお、長距離を走行するが乗降扱いの回数が少なく、着席せずに乗車すると危険が伴う高速路線バスなどでは、座席をなるべく多く提供する目的もあり、トップドア車と呼ばれる前扉のみのバスが採用されていることが多い。この場合出入口が前扉で共通になっている「前乗り前降り後払い」となるが、路線によっては運賃先払いの場合もある。さらに、神奈川中央交通のように中扉がある車両でも最初の1区間だけ入口として使用する場合、車椅子で乗降する場合のみ中扉を開閉しそれ以外は除雪道具置き場として用いる場合など、中扉は使用せず「前乗り前降り後払い」とすることもある。

「後乗り前降り後払い」の場合、乗車する際に乗車場所ごとに番号が振られた整理券を取るか、バス共通カードPASMOなどをカードリーダーに通して降車の際に運賃表で確認した整理券の番号に応じた運賃を運転席横の運賃箱に入れるかバス共通カードなどで支払う方式がほとんどである。「前乗り前降り」の場合も同様である。 また、信用乗車方式といわれる、行き先を運転手に告げ、行き先までの運賃を乗車時に運賃箱に入れる方式も存在している(横浜市営バスの対距離区間や東京ベイシティ交通などはこの方式で「前乗り後降り先払い」である)。また、現在も採用している路線は非常に少ないが、整理券を取らずに乗車し、降車時に乗車停留所を告げて運賃を支払う方法もある。

長所と短所

長所

  • 設備投資が小さい
    • 最大の利点。道路を利用するので、線路を建設する鉄道空港を建設する航空に比べて、新規路線を置く際も費用があまりかからない。そのため、他の公共輸送システムに比べ、地域に密着したサービスが可能となる。なお、高速道路本線車道上にバス停を設置する場合は、バス停の前後に減速車線・加速車線が必要となるため、設置費用が比較的高くなる。
  • バス停間の距離が鉄道の駅間距離に比べて短い
    • 特にフリー乗降制区間が採用されていると、バス停以外でも乗降できる利点がある。
  • 路面電車などの併用軌道より高速走行が可能
    • 併用軌道の最高速度は40km/hなので、場合によっては併用軌道より路線バスの方が速く目的地へ到着することがある。
  • Uターンが容易
    • 鉄道の場合は前後に運転席を設けている場合が多い。蒸気機関車の場合は転車台などが必要となる。
    • Uターンが不可能でも、誘導があれば、なくてもバックアイ(モニターカメラ)装備などで、方向転換が容易である。
  • 大型バスの場合、高速道路の通行料金区分が「大型車」扱い。
    • 観光バスの場合、大型バスになると「特大車」扱い。

短所

  • 渋滞に弱い・渋滞の原因になる
    • 渋滞に巻き込まれると、バスに遅延が生じる。また、バス停に停車するバスが原因で渋滞を起こしてしまうこともある。
    • 福岡市北九州市のように、バスの台数が極端に多く、また運転系統が市中心部に集中しているため「バスが渋滞を引き起こす」原因になっている例もある。
  • 大量輸送が困難

バス1台あたりの乗車定員数が、連節車両であっても通勤形電車1編成あたり(2両以上)の乗車定員数より少なくなる。また、鉄道の場合は運転士を増やすことなく編成あたり両数を増やすことができ、大量輸送が可能。バスの場合はバス1台ごとに運転士1人が必要になるため、人件費などで不利。

  • 鉄道に対する高速化の限界
    • 上記渋滞により、専用軌道走行あるいは交通規制で優先される路面電車LRTに比べ、路線バスの速度が遅くなってしまう。
    • 在来線高速化することによって、路線バスの方が速度が遅くなってしまう。
    • 高速道路での法定速度は100km/hなので、100km/hを越えて走行できる列車や高速鉄道には対抗できない。
  • 環境問題(大気汚染酸性雨地球温暖化
    • バスも、自動車の一種で排気ガスを大気中へ出すため、この問題は避けて通れない。だが、ハイブリッドバスや天然ガスを使ったバス(過去には、東京都交通局や知多乗合において燃料電池バスの試験運行を行った)が多くなっており、こういったバスを導入することで排気ガス排出を減少させる取組みがなされている。
  • 交通事故の増加
    • バスの交通事故が多発している。バスが使用する道路は一般的に混合交通であり、他の車の無謀運転や歩行者等の飛び出しなどによる、事故は避けきれない。これに加え、劣悪な労働条件あるいはバスサービスの供給過剰(競争激化)により、公共交通のバスでも無謀運転に走ってしまう場合が増えているためである。

日本以外での事例

アメリカ

長距離高速バスである「グレイハウンド」が有名だが、都市間輸送はバス・列車・飛行機がしのぎを削るボストン - ニューヨーク - ワシントンD.C.間など一部の区間を除いて、ほぼ飛行機の独擅場である。

ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市や地方の都市部では、都市内や都心と郊外を結ぶ路線バス(トランジットバス)が多く設定されており、多くが1ドル25セント~5ドル程度の運賃で運行されている。同一交通局内のバス・地下鉄・ライトレール路面電車への乗り換えには、1~2時間有効な乗換券が発行され、追加料金は発生しない。車体のフロントにバイクラック(自転車取り付け台)があるバスもある。ニューヨーク市などごく一部の大都市の例を除き、都市内-近郊の路線バスの主な利用者は、自家用車を所有できない貧困層である。都心部での公共交通機関の利用を促すために、大都市郊外のバスターミナル・地下鉄駅には、無料駐車場を併設しているところも多い。米国では通勤交通費の支給は一般的ではないが、駐車場コスト削減のために、交通局と契約を結んで従業員のバス利用を無料にする企業もある。

アメリカのなかでは例外的に一般住民や旅行者にも広く使われるニューヨーク市都市交通局のバスは、同市の地下鉄と同様に、24時間運行され、料金は均一体系である。同市内には12,499ヶ所のバス停があり、全てのバスが障害者車椅子のための昇降機を備えている。アメリカ各都市における、都市内バスの年間利用者数(2004年)は以下の通り。[1]

  1. ニューヨーク 7.40億人
  2. ロサンゼルス 3.67億人
  3. シカゴ 2.94億人
  4. フィラデルフィア 1.63億人

ヨーロッパ

都市内交通機関として路面電車とともに路線バスが設定されている。都市内への自家用車の乗り入れを抑制(パークアンドライド)するため、都心部の限定された区間では無料で利用できる施策が行われている都市も多い。また、ロンドン名物の二階バスが有名であるが、2005年12月9日、車イスでは乗り込むことができず、障害者に配慮した公共交通機関を2016年までに整備するよう求めた欧州連合(EU)統一基準はクリアできない等の、バリアフリーやなどの問題から、旧型車は一般用としては姿を消した。 しかし、観光用としては走っているのが現状である。

アジア

所得水準が低い上に鉄道網が十分に整備されていない国が多く、都市内交通・都市間輸送ともバスが主体の国が多い。料金徴収のため、車掌が乗車している国もある。使い込んだ整備状況の悪い車両が多い上に運転が荒く、特に東南アジアでは未舗装の悪路を高速で飛ばすことが多いため、危険性が高い。国によっては屋根の上まで乗客が乗車したり、バス停以外の場所で乗客が飛び乗ったりするなど、現在の日本では考えられない状況も見られる。しかしながら、一般市民が手軽に利用できる交通手段がバスしかないことも多いのが現状である。東南アジアやインドでは日本で使われていた路線バス車両が払い下げられて使用されている例も見掛けられる。

また、中国などでは長距離バスに寝台が設置された夜行バスが走行している。

補足事項

事業者別

車両メーカー

国内

海外

参考文献

  • 鈴木文彦『路線バスの現在・未来』『同part2』グランプリ出版、2001

外部リンク

関連項目

車両

運行方式

その他

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